まぃふぇいばりっと

機械学習やってます.Julia大好きです.勉強したことの殴り書きです.

原 啓介「線形性・固有値・テンソル」は行列代数を卒業して抽象的な線形代数に挑む人におすすめ.

原 啓介「線形性・固有値テンソル」を読んだ.

とてもとても良かった. 物理で線形代数には慣れ親しんでいたはずだけど,いつの間にか私が物理の計算で使うのは線形代数ではなく行列演算になってしまっていて,多重線形性とテンソルの関係とかすっかり忘れてしまっていたので,リハビリとしてもとても良い運動になった..

固有値の計算とか,行列式の計算とか,そういうのに慣れていても,抽象的なベクトル空間の数学としての線形代数の知識が体系的にまとまっていない人に強くおすすめします.テンソルの話や,内積空間の議論も豊富で役に立ちました.

巷の低評価が謎過ぎる!非常に勉強になった.ストーリーがしっかりしていて,何が重要で何が本質なのかが明示的に書かれている.読みやすい.今後も何度も見直すと思う.

階数定理から線形写像の大切な性質が示せるくだりや、行列の積の定義が抽象的な議論から自然に出てくるくだりがとても勉強になった。4章も分かりやすい.線形写像の表現が行列であったように,多重線形写像の表現がテンソル,ふむふむ.(些細なこともしれないけど)双線形写像を線形性の言葉で調べるために,テンソル積を導入するとか,ちゃんと書いてあって本筋を見失わずに読めた.機械学習やってて,急にテンソルを扱うことになり,テンソル積の定義とかをググりながらつまみ食いしがちな私にとっては,とても役に立った本.

同著者の別の本も買ってみようかしら.